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燃料電池自動車【FCV】の仕組みを解説!デメリットはあるの?

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燃料電池自動車とは、水素などの燃料を利用して発電し、その電気とモーターで走行する仕組みの車です。燃料電池自動車の略称はFCVで、Fuel Cell Vehicleの略となっています。

電気自動車と同様に、動力源は電気となり、発電する工程で炭素などの有害な排気ガスを出しません。発電時の化学反応で生成されるのは水のみとなるため、環境にも優しい自動車となっています。

こちらでは、燃料電池自動車(ねんりょうでんちじどうしゃ)について解説します。

燃料電池自動車の仕組みとは

燃料電池自動車は、電気自動車に近い性質を持ちますが、超高圧なタンクに入った水素を使って発電するため、満タン状態であれば、現在販売中の国産電気自動車よりも長距離走行することが可能です。また、燃料である水素の補充は、ガソリンの給油と同等またはそれ以上に短時間でできます

燃料電池自動車の種類

燃料電池自動車は、水素だけでなく天然ガスやエタノールなどのほか、太陽エネルギーなどのクリーンエネルギーとよばれる燃料を利用することも可能なため、環境への負担を軽減するエコカーとして、注目されています。現在(2023年1月時点)、日本の自動車メーカーが販売している燃料電池自動車はトヨタのMIRAIのみとなっていますが、2021年9月まではホンダのクラリティFUELCELLもリース専用車として販売されていました。トヨタのMIRAI、ホンダのクラリティFUELCELL、どちらも水素を燃料とする燃料電池自動車です。ホンダはクラリティFUELCELL販売終了後も、燃料電池自動車の開発を継続しており、CR-Vをベースとした新型燃料電池車の生産を、2024年から米国の生産拠点において開始すると昨年発表しています。

燃料電池自動車の動力の仕組み

燃料電池自動車の動力を発生させる仕組みを、現行モデルのトヨタMIRAIを例にして解説します。

燃料電池自動車の動力は電気ですが、電気自動車とは異なり車載している燃料電池で発電した電気を、駆動用バッテリーとモーターに送電して車を動かしています。燃料電池は、駆動バッテリーのように電力を溜めるものではなく、水素タンク内の水素と車外の酸素を取り込み、化学反応を起こして電気を作る発電機となっています。水素と酸素が化学反応を起こすと、電力のほかに水も生成されますが、車外へ水蒸気とともに排出されます。水を排出するため、冬季の路面凍結への影響を心配されるかもしれませんが、排出される水の量が少ないため路面への影響はほぼないとされています。

燃料電池自動車のコストパフォーマンス

燃料電池自動車は、タンクに溜めている水素と車外の酸素を取り込んで、燃料電池で発電し、発生した電力が送電されてモーターを動かします。必要となる燃料は、水素です。水素は、車載の水素タンクに溜めることができ、水素ステーションで充填することができます。

水素の価格は1kgあたりの価格で販売されていますが、地域や販売メーカーによって異なります。2023年1月現在、都内にある水素ステーションでの水素価格は1,210円/kg(税込)となっています。

トヨタのMIRAIは、水素タンクを前・中・後と3か所に設置しており、タンク容量は141L(Gグレード)となっています。MIRAIの水素タンクを満タンにするには、約5.6kg分の水素が必要です。都内の水素価格の場合、MIRAIの水素満タン価格(5kg)は約6,050円です。

MIRAIの一充填走行距離は850km(カタログ値)となっていますので、気候や勾配などの影響等を考えずに想定すると、満タンにある状態なら東京から広島までの距離(山陽自動車道経由)に相当する約849kmを走行できる計算になります。

燃料電池自動車のデメリット

燃料電池自動車は、水素と酸素による化学反応をおこして発電し、発電した電力により動く車です。発電時には、生成されるものは水のみとなり、走行中には水と水蒸気のみ排出するため、有害な炭素を含む排ガスなどの排出がありません。環境に優しい燃料電池自動車ですが、いくつかデメリットがあります。

また、燃費に関していうと、燃料電池自動車に比べて、低燃費の最新ハイブリッド車のコストパフォーマンスは高くなっています。例えば、現行モデルのトヨタのハイブリッド車プリウスの燃料消費率は、28.6km/Lです。850km走行するには、約30Lのガソリンが必要という計算になります。現在の全国平均レギュラーガソリン価格は、160.7円/Lとなりますので、プリウスの燃費で想定すると約4,821円かかるという計算です。前項での燃料電池自動車の同距離にかかる水素満タン価格が約6,050円と比べると、1,200円程度の差が発生しています。

燃料電池自動車は、発電機となる燃料電池の製造コストが高いことから車体本体の価格も高くなっています。新車購入時はエコカー購入補助金など利用することは可能ですが、元々の車体価格(トヨタMIRAIのエントリーモデルは7,106,000円~)からすると、条件のもと補助を受けたとしてもお得とは言い切れない価格になっています。

そして、燃料の水素についてもデメリットがあります。まず、水素の供給を受けることができる水素ステーションが、充電設備以上に圧倒的に少ないことがあげられます。まだ、全国に水素ステーションは100箇所もないため、燃料の充填は確実に不便なことでしょう。そこで販売されている水素価格は、地域やメーカーにはよるものの前述のとおり1kg約1,200円となっており、満タンに供給を受けるには高額です。

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まとめ

燃料電池自動車は、水素と酸素の化学反応によって発電する仕組みをもつため、生成されるのは水と水蒸気のみとなっており、有毒な排ガスも発生しません。ガソリンなどの燃焼を必要とする内燃機関(エンジン)はなく、水素などの燃料を利用して化学反応を起こし、発電した電力によって動く、環境に優しい車です。

現在販売中の国産燃料電池自動車はトヨタのMIRAIのみとなっていて、他メーカーからは販売されていません。競合がなく燃料電池の製造にもコストがかかるため車両価格が高額であることや、水素ステーションの設置個所も少なく利便性が追い付いていないことから、日本国内での燃料電池自動車の普及率は高くありません。

しかし、今後脱炭素社会に向けて内燃機関をもたない車に注目されている方も多いと思いますので、気になられた方は一度チェックしてみてはいかがでしょうか。