継続車検は正式には『自動車検査登録制度』といいますが、一般的には『車検』と呼ばれていることがほとんどです。所有している車が『道路運送車両法』に定められた『保安基準』に適合しているかどうか、『検査』することが車検です。車検を受けて適合基準に合格していると、新しい車検証が交付されて車に乗り続けることが可能になります。
車検は走行時の安全・安心を証明するのにも大切な検査ですが、高い費用がかかるイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。その車検を受けるにあたり、費用が抑えられる方法として知られているのが、車の使用者が自分で直接検査場へ車を持ち込み車検を受ける「ユーザー車検」です。
こちらでは、ユーザー車検を受ける前にしておくべき、事前チェック内容やユーザー車検の注意点について詳しく解説します。
ユーザー車検を受ける前に準備すること
車の使用者自身がユーザー車検を管轄の運輸支局で受ける前に、まずは保安検査コースではどのような検査項目があるのか把握しておきましょう。ユーザー車検を受ける前に事前チェックを車の保管場所で行い、メンテナンスをしておくと本検査でもスムーズです。
ユーザー車検時の事前チェック【外装・内装編】
事前にチェックしておくことをおすすめする外装・内装の項目について、詳しくご紹介していきます。
タイヤの状態を確認
車で走行する上で重要となるのがタイヤです。車検ではタイヤの溝の深さやひび割れ・亀裂等がないかの検査項目がありますので、事前に確認しておきましょう。タイヤの溝が1.6ミリに満たなかったり、亀裂・ひび割れがあったりする場合は、タイヤを交換する必要があります。また、車体からタイヤが1cm、ホイールが少しでもはみ出している車は不正改造車とされてしまい、整備命令が発令される場合がありますので注意が必要です。
外装の灯火装置の確認
灯火装置には、ヘッドライト・テールランプ・ブレーキランプ・バックランプ・ナンバー灯・ウインカーなどがあります。切れている灯火装置があれば電球交換が必要となります。
また、電球を覆うレンズが破損して光が漏れている場合、レンズ自体を交換する必要があります。光が漏れていない程度の損傷・ヒビであれば補修で対応可能となっています。
ガラスの状態確認
車のガラスといえばフロントガラスも確認が必要です。フロントガラスにヒビや損傷などがないか目視します。ヒビ・損傷がある場合は補修するか交換しましょう。
また、後部座席以外での色のついたフィルム(スモークフィルム)を貼っている場合、不正改造車となってしまいますので、必ず運転席より後方に貼るようにしましょう。フロントガラス、運転席、助手席のサイドガラスにカーフィルムを貼りたいと考えている方は、可視光線透過率70%以上あれば可能となっていますので選ぶ際の基準にしてください。
シートベルトや発煙筒の確認
シートベルト警告灯や、エアバック警告灯などの警告表示灯が点灯していないかの確認も忘れず行いましょう。また、発炎筒(使用期限内の物)がしっかりと取り付けられているかの確認も必要です。
不具合が生じている場合は修理を行いましょう。
ユーザー車検前の事前チェック【機能・装置編】
外装・内装のチェックができたら、車に搭載されている機能・装置についてもしっかりと稼働しているか、不具合等は無いかの確認を行いましょう。
ワイパーやホーン、マフラー等の確認
ワイパーのゴムの状態やウォッシャー液の量は適切か、ホーンを押して正常に機能しているかも確認します。
また、マフラーから排気漏れが無いか・排気音に異常は無いかを確認しましょう。もし、排気漏れがある場合は修理・交換をする必要があります。
メーターの確認
警告灯が点灯していないかをしっかりと確認しましょう。もし、点灯している場合は原因を調査し安全に走行ができるよう、部品に合った対処を行いましょう。
ユーザー車検で必要なものチェックリスト
使用者が自分で車検を受ける場合と依頼する場合とでは必要なものが異なり、使用者自身が受ける際は準備するものが多くなります。まず、車検当日に「自動車検査票・自動車重量税納付書・継続検査申請書」については窓口で配布していますので受取りましょう。
ユーザー車検の必要書類
事前にしっかりと書類の準備・車の点検を済ませ準備万端で車検場へ向かいましょう。当日は必要書類と印鑑・車検費用を現金で持っていく必要があります。
- 自動車検査証(車検証)
- 自動車税納税証明書
- 自賠責保険証明書
- 自動車検査票
- 自動車重量税納付書
- 継続検査申請書
- 定期点検整備記録簿
- 印鑑
- 車検費用
ユーザー車検の事前予約
ユーザー車検で必要なものとして、検査場での事前予約も必要です。
自動車検査場の予約は電話またはネットでできますが、ユーザー車検は普通自動車と軽自動車で受ける場所が異なります。軽自動車は全国の軽自動車検査協会・普通車は全国の運輸支局にて受けることができます。
ユーザー車検にかかる費用
ユーザー車検は業者に車検を依頼する場合と違って費用が安く済みます。なぜ安くなるのか、その理由とともにユーザー車検にかかる費用の内訳についても解説します。
ユーザー車検にかかる費用の内訳
ユーザー車検でかかる費用は、基本的には法定費用のみとなっています。
ただし、車検を通すために必要となる、劣化していた部品や部材の修理や交換費用は別途かかります。
ユーザー車検の費用が抑えられている理由
ユーザー車検の一番のメリットとも言えるのが車検費用を抑えることが出来るといった点です。前述の通り、ユーザー車検でかかる費用は、ほぼ法定費用です。法定費用はどの車検方法を選んでもかかりますが、金額は一律です。では、ユーザー車検以外の車検方法の場合は、法定費用以外にどのような費用がかかるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
車検を業者に依頼する際場合は、車検基本料という費用が追加でかかります。この車検基本料は業者によって違います。車検基本料の平均相場は15,000円~55,000円ほどとなっており、その車検基本料には24か月点検の費用が入っていることがほとんどです。
ユーザー車検を選んだ場合、車検基本料分がかからず安く済むことになるのです。ただ、ユーザー車検の場合は、車検とは別で24か月点検を受ける必要があります。24か月点検は、車を安全に走行させるために所有者に義務付けられている点検のことで、整備記録簿を用意して点検すべき56項目を確認します。この24ヶ月点検を別途業者に依頼するとなると、その分費用はかかります。

ユーザー車検の詳しい手順

運輸支局の近辺には、運輸支局で行う車検項目と同じ内容の検査を、本番前に行っておける民間の検査場(有料)があります。この検査場を「予備検査場」と言います。予備検査場で予め、サイドスリップ検査・調整、各ブレーキ・スピードメーター検査、ライトの光軸検査・調整、排気ガス検査・調整を行ってもらい、自動車の状態を確認・調整します。テスター屋さんとも呼ばれています。
ユーザー車検当日の点検手順
1.運輸支局で用紙の入手と記入
窓口にて自動車検査票・自動車重量税納付書・継続検査申請書の3枚が配布されていますので、受け取りましょう。運輸支局内に見本等があるので、見本を参考に必要項目を記入し埋めていきます。
2.税金・検査手数料の各支払い
印紙・証紙販売窓口で、自動車重量税額分と検査手数料分の印紙・証紙を購入し、それぞれの書類に貼り付けます。検査手数料は自動車の種別区分によりますが1,700円~1,800円となっています。また、自賠責保険継続の期限の延長を行います。保険期間は必ず、車検有効期限より多く加入する必要があります。
3.自動車税納税証明書の提示
自動車税納税証明書を納税確認窓口に提出します。キチンと支払いが確認されれば、納税している旨の押印がもらえます。特定の条件を満たしている場合はこちらの確認手続きは不要となる場合もございます。
4.車検の受付・検査コースでの受検
ユーザー車検受付窓口に書類一式を提出し、書類に不備がなければ検査コースで受検を行います。1回の申請で検査コースへ入場できるのは3回までとされています。一発合格を目指しましょう。
車検完了・車検証の交付無事に検査に合格すれば、書類一式を車検証交付窓口へ提出し、窓口で新しい車検証とステッカー(検査標章)の交付を受けることになります。検査に合格しなかった場合は、不適合箇所の整備を行った後に再検査を受けましょう。
また、検査に合格できなかった場合は、2週間以内であれば、不適合箇所に関わる検査項目のみの受検となります。その場合、予め不適合の指摘を受けた検査日に限定自動車検査証の申請を行い、交付を受けておく必要があります。
限定自動車検査証とは?
限定自動車検査証とは、保安基準に適合していない箇所が記載された書類です。交付してもらうことにより、2週間以内に再検査を受ける場合は、不適合箇所に関わる検査項目のみの受検で済みます。限定自動車検査証の交付は無料となっていますが、後日、再検査を受ける際の検査手数料に1,300円かかります。
まとめ
こちらの記事では、ユーザー車検を受けるにあたって事前に準備しておくポイントを解説しました。
ユーザー車検を受ける前に、自分の車の状態をしっかりと把握しておかなければ、当日検査をスムーズに行うことができません。まずは使用者自身が予め外装・内装だけでなく、車の機能や装備の確認を行って万全の状態で受検できるように準備しましょう。