2024年11月時点でのガソリン価格は、1リットルあたり174.7円(資源エネルギー庁によるレギュラーガソリンの平均価格推移)と高騰しています。ガソリン価格が高騰することで、気になってくるのは車の燃費でしょう。
ガソリン車の平均燃費は15.0km/Lと言われています。燃費の悪い車を選んでしまうとこちらの平均燃費以上に燃料が必要となり、毎日車を通勤や通学で利用する方は特に高額な維持費用が毎月負担になってしまいます。
車の利用機会が一定以上ある方にとって、車の維持費を抑える重要なポイントは【燃費】です。こちらでは、燃費が良くて人気の高い【ハイブリッド車】について詳しく解説します。
燃費の良いエコな車といえばハイブリッド車
ガソリン価格が高騰する一方で、ガソリンなどの燃料にかかる費用を抑えるための解決策になる車が、今の自動車業界ではさらに発展しつつあります。それがハイブリッド車です。
近年の新車市場においては、多くの自動車メーカーからハイブリッドモデルの車がラインナップされています。ハイブリッド車に搭載されるハイブリッドシステムについては、メーカー独自のシステム開発を行っているところも多く、燃費性能は競合することで大きなレベルアップをしているのです。
ハイブリッド自動車とは
ガソリン燃料にかかる費用を抑えることができるハイブリッド車とは、どのような仕組みをもっているのでしょうか。実は自家用車だけでなく、多くの乗り物がハイブリッド機能をもっています。
例えば、モペット(電動バイク)などもハイブリッドシステムをもっている乗り物です。モペットは、人力でペダルを回して動く仕組みと電動モーターによる力で動く仕組みの二つを持ち合わせています。また、巨大な鉱業用トラックも、ディーゼルエンジン(内燃機関)とエレクトリックモーター(電気)の二つの動力の仕組みをもつハイブリッドシステム搭載の車となっています。潜水艦にもハイブリッドシステムを搭載するものがあり、原子力発電による電力とディーゼルエンジンとの異なる動力が組み合わさって海中で動いています。
このように乗り物が動くための力が2つ以上の組み合わされた車両のことを、ハイブリッドシステムをもっている「ハイブリッド車」といいます。
ハイブリッド車は、国内生産車両だけでなく、フランスの自動車メーカーPSAのプジョー・シトロエン(欧州市場で人気の車種)も有名です。シトロエンは、ディーゼルエンジンとエレクトリックモーターの二つの動力源をもつハイブリッド車となっています。ハイブリッドシステムの国内生産での内訳は、国産車においてはガソリンエンジンと電気モーターの二つの動力源による仕組みのハイブリッド車が最も多くなっています。
ハイブリッド車の機能や仕組み
ハイブリッド車が標準的なガソリン車よりも、リッター当たり10km/L以上も多くの燃費を得るために、どのような機能やシステムをもっているかご存知でしょうか?
エンジンとモーターによるハイブリッドシステムの仕組み
ガソリンエンジンと電気モーターのハイブリッド車は、現在多くの国産車メーカーから販売されています。ハイブリッドシステムは、ガソリンエンジンのみが搭載される従来の自動車に比べて、効率的に車を動かすことができるため低燃費車となります。
ガソリン車は、加速力を出すために一つのエンジンで十分なパワーを生成する必要があります。車体が大きい程、並行してパワーも必要です。大きなパワーを生成するためには大きなエンジンが必要で、エンジンが大きくなると車重も相対して大きくなり、その重い車体にはさらに大きなパワーが必要となるといった循環が生まれます。
しかし、ハイブリッド車の場合は、最も大きなパワーが必要になる発進時や加速時には電気モーターによって発生したエネルギーを使って稼働し、ドライブ中に安定して走行する時にガソリンエンジンを使って稼働するなど、力の稼働するタイミングを用途に合わせて分けています。そのため、大きなエンジンを必要とすることがなくなり、シリンダ数も減少できるため、より小型で軽量な部品を使用してのエンジンを使用し、効率改善が可能になっているのです。
大きくてパワーが強い程燃費が悪くなりやすい?
マッスルカーなどの車は、加速力があり高いパワーをもっているものの、その分高燃費車になります。最高出力が大きく総排気量も大きいガソリン車(マッスルカー等)は、一回の燃焼で生み出せる力も大きいのですが、その一回の燃焼で多量の燃料を必要とするためです。
また、最大トルクが多く最高出力が高いエンジンは、エンジンだけの総部品重量で考えても、重くなります。エンジンを構成するピストン等の内部部品は、シリンダ内を上下に動き続ける部品のため剛性も必要になり、重さもあります。パワーを発生するには、シリンダ数が多ければ多いほど、同時に燃焼し大きな力を生み出すことができます。複数のシリンダで燃料を燃焼させるには、シリンダと同じ数のピストン等も必要となり、内燃機関部分だけでもかなりの重量になるのです。
エンジンが大きくなるほどパワーも加速性能も上がりますが、大きなエンジンの重さを補うにはさらにパワーが必要になります。また、自動車は動いていなくてもエンジンが点火するたびに燃料を使用します。車体が大きい、車重が重い車で、パワーも伴う車となると燃費が悪くなってしまうのは、このような理由からです。ただし、高級車で高いパワーをもつ車でも総重量で見ると軽い車は存在します。それは、本来重くなってしまうボディ部分に剛性は高いものの軽量のカーボンファイバーを使用している等の工夫がされているからで、価格自体はかなり高価格になってしまうものの、パワーと重さは比例していません。
ハイブリッド車の燃費改善策

より小型で効率的なエンジンの開発など、近年のハイブリッドシステムは、燃費を向上させるために多くの技術が活かされています。
ハイブリッド車の回生エネルギー
ハイブリッド車のシステム開発部分の一例を挙げると、エネルギーを回収してバッテリーに蓄える技術、回生エネルギーがあります。
自動車を制御するためにブレーキペダルを踏むと、車が前に進むためのエネルギーが不要になります。ブレーキが踏まれて減速を始めると、不要になった前に進む動力をモーターを回転させるための動力へ使用します。モーターは回転することで発電機となり、その発生した電力は蓄電バッテリーに回収してまた車が走行を始めると電気動力源として利用されます。
一般的なガソリン車は、車が前に進んでいると運動エネルギーを沢山使用します。そして車を停車させるためにブレーキを踏むと、発生している運動エネルギーを取り除くため、摩擦熱として発散します。取り除かれたエネルギーが回生することもありません。
ところがハイブリッド車の場合は、このエネルギーの一部を捕まえて後で使用するためにバッテリーに蓄えることができるのです。この回生エネルギーという技術は、モーターの仕組みと発電機の仕組みが似ているために可能になっています。電気モーターは発電機を兼ねて機能しており、車が減速している間にバッテリーを充電するため、外部充電を行わなくても走行は問題なく続けることができます。市場に出ているハイブリッド車はすべて、このシステムを搭載しています。
ハイブリッド車それぞれの燃費性能向上への取り組み
それでは、2025年現在販売されているハイブリッド車それぞれのメーカーごとの、燃費性能向上への取り組みをこちらでご紹介します。
ホンダ・アコードのスポーツe:HEVシステム
2024年3月に発売されたホンダのアコードe:HEVは、アコードの11代目現行モデルとなっています。同社の上級セダンのレジェンドが終売となったため、高級感がありシンプルなデザインのセダンとなっている新型アコードへ乗り換えを決めた方は多かったようです。
ホンダのオリジナルハイブリッドシステムであるe:HEVのなかでも、アコードには新モーターの「スポーツe:HEV」が搭載されています。スポーツe:HEVの特徴としては、ハイブリッドシステムによる加速性の良さを活かした走りと安定した疾走感を味わうことが可能となっています。
トヨタ・カローラのTHS2
トヨタのハイブリッドシステムというと、現行のカローラハイブリッドにも採用されているTHS2(トヨタハイブリッドシステム2)があります。2016年に開発されたこちらのシステムは、2.5LDynamic Force Engine用THS2という名称がつけられています。
THS2の特徴は、小型・軽量・低損失化技術と、TNGA(トヨタの車両開発・設計思想)によって開発された新型エンジンの高い燃焼効率と高出力とのシナジー効果によって、優れた動力性能・低燃費になっていることです。
THS2が低燃費を実現できている要因として、高車速域においてもエンジン間欠運転ができるようになっていることが挙げられます。エンジン間欠運転とは、エンジンを一定時間をおいて稼働と停止を繰り返す運転方法のことで、燃料の消費率を下げることで、省エネとコスト削減に役立てています。

まとめ
こちらの記事では、ハイブリッド車の仕組みや燃費改善にどのような技術が活かされているのかいるのかなどご紹介しました。
ガソリン車とハイブリッド車のどちらのパワートレーンも用意されていて選ぶことが可能なトヨタ・カローラは、Xグレード(2WD)ハイブリッド車のメーカー希望価格が2,418,600円、カタログ燃費30.2km/Lとなっています。ガソリン車は2,028,600円、カタログ燃費19.4km/Lです。価格としては39万円の差があり、燃費差はおよそ10.8km/Lです。初期費用としてはハイブリッド車は高額と感じるかもしれませんが、数年前に比べてハイブリッド車とガソリン車の価格差は狭くなってきています。また、最新のハイブリッド車などの場合はエコカーに対する減税制度等もあるためお得に購入できる可能性があります。
車の購入を検討していて悩まれている方は、燃費性能や環境問題への対策としてハイブリッド車も視野に入れ、走行時の静粛性や加速感などがガソリン車と異なっているため乗り比べてみてはいかがでしょうか。