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廃車の知識

ローンが残っている車の廃車はできる?廃車の方法は?

廃車の知識

令和4年度の年間新車販売台数ランキングで、普通車第1位はトヨタのヤリス、軽自動車はホンダのN-BOXとなっていました。ヤリスの新車販売価格は147万円~、N-BOXの新車販売価格は146万円~となっています。どちらも新車購入するには146万円以上の出費がある可能性があります。

新車購入時現金で一括ではなく、ディーラーローンやマイカーローン(銀行ローン)を組んで購入しようと考える方も多いでしょう。ローンによる購入の場合、返済までに数年かかることが予想されます。もしもローン返済中の車が交通事故に遭ってしまったり、故障して乗れなくなってしまった場合、ローンが残っていても車を廃車することはできるのでしょうか。

こちらでは、「ローンが残っている車の廃車はできるのか」、詳しく解説します。

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ローンが残っている車とはどんな車?

車のローンが残っている車とは、どんな状態のことをいうのでしょうか。こちらで解説します。

ディーラーローンとマイカーローンの違い

車購入で利用できるローンは大きく分けて二種類あります。ローンの借入先が車販売店または販売店の提携信販会社となっているディーラーローンと、銀行や共済が借入先となるマイカーローンです。二つの借入先の特徴を表にして比較すると以下になります。

借入先ディーラーローンマイカーローン
金利 平均7%~12% 平均3%~5%
審査基準易しい厳しい
所有権クレジット会社ローン契約者
返済期間変更できない場合が多い 短縮が可能
契約手続き短期間・手間が少ない長期間・必要書類が多い
担保購入車両保証会社
二つの借入先の特徴

ローンが残っている時の車の所有権は誰のものか

前項の比較表でも記載したように、ディーラーローンの場合は返済できるまで所有権はクレジット会社にありますが、マイカーローンの場合はローン契約者にあります。

ディーラーローンで購入した車の所有権がクレジット会社になっている理由は、購入する車両自体が担保になっていて、完済するまでは所有権留保の状態になっているからです。
マイカーローンは担保が原則不要となっていて、ローン契約時に銀行系保証会社と保証契約を結ぶため、所有者はローン契約者本人となるのです。

ローンが残っている車の廃車はできる?

では、ローン返済中の車が事故に遭ってしまったり、使用する予定がなくなり不要になった時、廃車や売却はできるのでしょうか。

ローンが残っているが所有権が自分にある場合

マイカーローン(銀行ローン)を組んで車を購入し、所有権が車の使用者と同じになっている場合は所有権はご自身にありますので、車の売却や廃車の手続きをすすめることができます。ただし、マイカーローンの中には規約で「返済中の車の売却を禁止する」と契約内で決められている場合もありますので、トラブルにならないように必ず確認をとってから手続きをすすめるようにしましょう。

ローンが残っていて所有権が自分にない場合

ローンが残っていて、ディーラー(ローン会社)に所有権が留保となっている状態では、車の使用者(購入者)は廃車・売却・譲渡などの手続きを勝手に進めることができません。所有者に所有権留保を解除をしてもらい、所有者の名義を変更しなければローン契約中の車を廃車したり売却をする権利がないのです。

ディーラーローンを組んで車を購入し、ローンの返済期間中に交通事故や故障によって車が使用できなくなっても、勝手に廃車することができず困ることになります。ただし、返済中であっても残っているローンを一括完済して所有権留保解除手続きを依頼することができれば、車の使用者は廃車や売却を行うことができます。次項ではローンが残っている車を廃車する時の手続きの流れについて解説します。

ローンが残っている車の廃車手続きの流れ

ディーラーローンを組んで購入した車が事故に遭い、現在も返済中ではあるが使用出来なくなったため廃車したい時、ローンが一括返済可能な場合の廃車手続きの流れを解説します。

1.ローンの借入先へ所有権解除を依頼する

まず、ローンが残っている車の廃車手続きをするには、大前提としてローンを完済しなくてはなりません。ローン会社へ連絡をして返済額はあといくら残っているのか、一括返済をしたい旨を伝えましょう。返済額を確認して一括返済方法を相談し、返済が完了したらローン会社へ所有権留保の解除依頼をします。

ローン会社へ所有権留保解除の依頼をするには、必要な書類を揃えてローン会社へ提出する必要があります。ローン会社によって内容が異なる場合はありますが、下記が一般的に所有権解除書類の交付依頼に必要となる書類です。

  • 車検証コピー
  • 印鑑証明書コピー
  • 所有権留保解除書類交付依頼書

印鑑証明書コピーは、車検証の使用者と所有権解除依頼者が本人かどうか確認するために必要です。印鑑証明書の登録住所氏名と車検証の使用者住所氏名が、転居や婚姻等で変更されている場合は、変更されたことがわかる住民票や戸籍謄本等のコピーがあわせて必要になります。

また、2023年1月4日以降に交付された車検証は、電子車検証となっており所有者情報の確認がとれなくなっています。そのため、電子車検証になってからの車検証のみを所持している場合は、自動車検査証記録事項を取得して提出しなくてはいけません。電子車検証と従来の車検証の違いは、用紙のサイズで確認ができます。A6サイズでICタグがついているものは電子車検証、A4サイズでICタグのないものは従来の車検証になります。A6サイズでICタグがついている場合は、運輸支局(または軽自動車検査協会)で自動車検査証記録事項を取得しましょう。

上記の所有権解除書類交付依頼に必要な書類がローン会社側に不備なく届き、相手が残債確認を行って完済の確認がとれれば、廃車もしくは名義変更手続きをする際に必要な所有権解除書類一式が送られてきます。

所有権解除書類一式の内訳

普通自動車の場合

  • ローン会社の印鑑登録証明書
  • ローン会社の譲渡証明書
  • ローン会社の委任状

軽自動車の場合

  • ローン会社の申請依頼書
  • ローン会社の軽自動車所有者承諾書

2.名義変更と廃車手続きを同時に行う

ローン会社に所有権解除書類交付を依頼し、廃車もしくは名義変更手続きに必要な書類が送られてきたら、管轄の運輸支局(軽自動車は軽自動車検査協会)で手続きを申請します。
今回のように不要になってしまったり、事故や故障で使用出来なくなった車であれば、名義変更(移転登録)と廃車手続き(一時抹消)を同時に行うことで、必要な手続きを短縮して申請することができます。

こちらの移転登録と一時抹消の二つの手続きを同時に行うことを、移転抹消登録手続きといいます。

普通車の移転抹消に必要な書類

普通車の移転抹消は、管轄の運輸支局へ以下の書類を持参します。

  • 自動車検査証 原本
  • ローン会社(所有者)の譲渡証明書・委任状・印鑑証明書
  • ご自身(使用者)の印鑑証明書・住民票
  • 移転抹消登録手数料 850円
  • ナンバープレート前後2枚

もしもご本人が手続きをできない場合は、上記のほかに実印の押印された委任状の準備が必要です。印鑑証明書は取得発行日から3か月以内のものとなりますので、ディーラー(または信販会社)が所有権解除書類を発送した時点で発行から数日が経過している可能性もあります。到着次第、速やかに手続きを行うようにしましょう。

運輸支局では以下の書類が公布されますので取得し、必要な部分を記入します。

  • OCR申請書(1号様式)
  • OCR申請書(3号様式の2)
  • 手数料納付書

移転抹消登録手数料分の印紙は建物横の販売窓口で購入することができますので、購入後、手数料納付書に貼り付けて一緒に提出します。

所有権解除を依頼し送付された書類と運輸支局で取得する書類を揃えて提出し、移転抹消登録手続きを申請します。申請書類が受理されると当日中に登録識別情報等通知書が交付されます。車の再登録や、解体後の手続きに必要な書類になりますので、大事に保管しましょう。

軽自動車の移転抹消に必要な書類

軽自動車の移転抹消は、管轄の軽自動車検査協会へ以下の書類を持参します。

  • 自動車検査証 原本
  • 旧所有者(ローン会社)の申請依頼書・軽自動車所有者承諾書
  • 新使用者(ご自身)の住民票
  • 返納証明書の発行手数料 350円
  • ナンバープレート前後2枚

軽自動車検査協会では以下の書類が公布されますので取得し、必要な部分を記入します。

  • 自動車検査証記入申請書(軽第1号様式)
  • 自動車検査証返納証明書交付申請書・自動車検査証返納届出書(軽第4号様式)

軽自動車検査協会で交付される申請書には、旧所有者の印鑑を押印することができないため、所有権解除書類に含まれる申請依頼書が必要になります。軽自動車所有者承諾書は、申請依頼書と比べると用紙の大きさが小さい書類になりますので、紛失しないように気を付けましょう。

所有権解除を依頼し送付された書類と軽自動車検査協会で取得する書類を揃えて提出し、移転抹消登録手続きを申請します。申請書類が受理されると当日中に自動車検査証返納証明書が交付されます。車の再登録や、解体後の手続きに必要な書類になりますので、大事に保管しましょう。

ローンが残っていて完済が難しい場合は

ディーラーローンを組んで車を購入し、ローンの返済が残っている場合は、完済しなければ所有権解除の手続きは応じてもらえないことがほとんどです。

ただし、事故や災害などが原因で廃車にせざるを得ない状況、その上一括返済が難しいといった場合には、残債をその後も支払うことを条件に相談すれば、廃車手続きのために必要な所有権解除に応じてくれる可能性があります。廃車手続きをしていない自動車に関しては、故障していたり使用ができない状態であっても自動車税がかかってしまうため、廃車手続きをしなければ使っていない車にも維持費負担が発生します。やむを得ない事情がある場合は、一度相談してみましょう。

まとめ

事故や故障で使用できなくなった車や、出張や海外赴任等で車が不要になってしまった時、所有者がローン会社になっていると書類の取り寄せにも時間がかかるため、急いで廃車しなければいけないのにできないという状況になりかねません。

ローンを組んで購入した車で車検証の所有者の名義がローン会社になっている時は、ローンが既に支払いが完了しているかどうか、まずは確認をしましょう。車検証の所有者名義はローン会社であっても、ローンを完済していれば名義変更に必要な書類はすぐに交付申請してもらうことができますので、速やかに名義変更をしておくことで、今後手続きが必要になった時もスムーズに手続きをすすめることができます。