5月初旬に、自動車税種別割の納税通知書が届いた方は多いのではないでしょうか。毎年4月1日に車の所有者へ自動車税種別割が課税されます。納税通知書は、管轄する地方税事務所から5月頭に発送され、5月末までに税金を納めるように期限が決められています(末日が土日の場合は翌月曜まで、一部の県は6月末まで)。
自動車税種別割の納付方法は様々ありますが、うっかり忘れて納期限が過ぎてしまったという方もいるかもしれません。自動車税を滞納してしまうと、財産等の差し押さえを受ける可能性があることはご存知でしょうか。
こちらの記事では、自動車税滞納による差押えのリスクや、滞納から差押えまでどのような流れで滞納処分が行われるのか、詳しく解説します。
自動車税を滞納すると差押えを受ける場合がある
令和7年度自動車税種別割の納期限は、殆どの都道府県で6月2日(月曜日)となっています(一部の地域では6月30日)。納期限までに特別な理由なく自動車税を完納していないと、滞納処分として財産等の差押えが行われる可能性があります。
自動車税を滞納すると差し押さえになる理由
車の税金である自動車税種別割は、普通自動車の所有者に課税義務がある地方税です(ローンで購入した車で返済途中の場合は、売主であるローン会社(所有者)が所有権を持ちますが、課税義務は買主である使用者にあります)。
自動車税種別割は、各都道府県に納める地方税で普通税に分類されます。自動車を所有する財産税としての性格と、公共サービスに使われる財源としての性格をもっています。納期内に納付された方との税の公平性と、地方財源確保のため、税金滞納者には滞納処分として債権・動産・不動産・株等の差押えが行われます。
差し押さえられた財産は、地方の財源収入のために公売にかけられることがあります。
特別な理由があり納税が難しい時は
災害に遭った時や、病気や負傷、事業の休止や廃止等によって一時的に納税が難しい時は、速やかに徴収猶予の申請をすることで、内容によって1年以内の期間に限り猶予が認められる場合があります。徴収猶予の申請や納付の相談については、各都道府県税事務所に問合せをしましょう。猶予の申請を行い承認を得た場合は、原則として猶予期間中の各月に分割して納税する必要があります。
個人的な借金があるため納税ができないということが、猶予を申請する理由にはなりません。税金はすべての債務より優先することと法律で定められているため、借金があったとしても納税しなくてはいけません。複数の借金があり経済的に生活が苦しいといった場合は、最寄りの公共機関等の福祉相談窓口で相談が受け付けられています。
自動車税を滞納してから差し押さえされるまでの流れ

自動車税を滞納してしまうと、すぐに財産等が差し押さえられてしまうのでしょうか。
自動車税の納税通知発送から、差押えまでの流れ
- 自動車税納税通知書の発送
- 納期限を過ぎて20日以内に督促状の発送
- 督促状の納期限を過ぎて催告書の発送
- 滞納者の財産調査
- 財産の差押え
- 財産を現金化し滞納分に充当
まず、自動車税の課税が発生するのは、該当年度の4月1日となっています。そのひと月後5月初旬に納税通知書が発送されます。納税通知書に記載の納期限(殆どは5月末)までに納めることができなければ、滞納となります。
まず、納期限までに完納確認がとれなかった時は、各地方の税事務所から納税者へ督促状が送られます。督促状は、納期限を過ぎた場合に送らなければならない文書となっていて、5月末が納期限となっている場合は、納期限から20日以内の6月中旬頃に送られます。
督促状が送付されても納税をしなかった場合は、次に催告書が送られます。催告書については、最後通告となっており、延滞金が発生することや催告書の期限までに完納が確認できなかった時は、差押え等の滞納処分があることが記載されています。
催告後も相談なく納税がない場合、滞納者の金融機関や勤務先・取引先に対して財産調査が行われます。財産とは、給与・売掛金・預貯金・生命保険・自動車等のことです。財産が確認できた時に差押えが行われ、取り立てられた財産は現金化された後、税金滞納分に充当されることになります。
自動車税滞納によって起こること
自動車税を滞納することで、差押えを受ける可能性があるとご紹介しました。このような財産の差押えだけでなく、他にも自動車税を滞納することで損をしてしまうことがあります。
自動車税滞納分の延滞金が加算される
自動車税の納期限を過ぎてからも滞納を続けると、納期限の翌日から納付の日までの滞納期間に応じた日数分の延滞金がかかります。基本的な延滞金率は年14.6%となっていて、納期限の翌日から1か月を経過する日までの割合が年7.3%となっています。自動車税種別割の延滞金を計算する時の算出方法が以下になります。
滞納している自動車税額×延滞日数×延滞金率(年14.6%)÷365=延滞金
ただし、令和3年1月1日から延滞金率については【延滞金特例基準割合に年1%の割合を加算した割合】となっており、令和4年1月1日から令和7年12月31日までの期間の延滞金率は、納期限の翌日から1カ月までは滞納額の年2.4%、1カ月経過後は年8.7%となっています。
また、延滞金を計算する時は、滞納している税額の内1,000円未満が端数切捨てとなります。また、税額が2,000円未満の場合、延滞金はかかりません。
自動車税種別割を滞納した時の延滞金の目安表(令和7年の延滞金率)
排気量/滞納期間 | 30日(2.4%)※1 | 365日(8.7%)※2 |
---|---|---|
1,000cc以下 | 0円(49円) | 2,000円(2,045円) |
1,000~1,500cc以下 | 0円(59円) | 2,400円(2,454円) |
1,500~2,000cc以下 | 0円(71円) | 2,900円(2,945円) |
2,000~2,500cc以下 | 0円(84円) | 3,500円(3,517円) |
2,500~3,000cc以下 | 0円(98円) | 4,000円(4,090円) |
3,000~3,500cc以下 | 0円(104円) | 4,600円(4,663円) |
例えば、1,000cc以下排気量のコンパクトカーの自動車税種別割の納税額(25,000円)を、1年間滞納していた場合は2,000円の延滞金が加算されるため、年税額と滞納時の延滞金を合わせて27,000円納税しなければなりません。
※1 1,000円未満のため延滞金がかからない
※2 延滞金額は100円未満端数切捨て
自動車税滞納分に他税の還付金が充当される
その他の地方税について、重複して納めていたなどの過誤納金があった場合は本来還付金として手元に戻ります。しかし、同じく地方税である自動車税種別割に滞納があった場合は、その滞納税額に過誤納金が充当されるため、還付金を受け取ることができません。
自動車税の納税方法が限られる
自動車税の納税方法は、キャッシュレス決済やコンビニでの払い込みなど複数の種類が用意されており、近年は時間や手間をかけることなく納税がしやすくなっています。しかしこのような身近な納付方法については、納期限を過ぎると利用できない場合がほとんどとなっています。そのため納期限を過ぎて慌てて納付しようとしても、督促状や催告書に記載されている支払い方法に限定されてしまい、平日に金融機関に出向く必要があるなどの手間がかかるのです。クレジットカード等のキャッシュレス決済を利用して納付したいなど、納付方法を選択したいという方は、期日までに納付を行うようにしましょう。
車検が受けられない
車検を受けて新しい期間の車検証を発行するには、納税証明書の提出をするか、オンラインでの納税確認ができる状態である必要があります。
また、車の売却を検討している方の中には、その車の最初の購入が割賦販売(ローン組み)で購入金額のローン自体は返済を完了しているが、所有権解除手続きと名義変更ができていない車、という場合があります。当初ローンで車を購入していると、所有者がローン会社になっているため、返済完了時には所有権解除依頼が必要です。その所有権解除手続きをする時に、ローン会社によっては自動車税の納税証明書の提出が必要な場合があります。もしも滞納をしていると名義変更が進まず、所有者として車の売却ができない可能性があるのです。

まとめ
こちらでは自動車税種別割を滞納してしまったときに起こる、差押え処分や加算される滞納分の延滞金について詳しく解説しました。自動車税の納期限を過ぎてしまうと、滞納処分として車や不動産など、財産が調査されて差押えを受ける可能性があります。
また、自動車税は滞納している日数分の延滞金がかかりますので、滞納期間が長い程費用が嵩み、損をしてしまいます。自動車税については、計画的に納期限までに納めるように気を付けておきましょう。また、不要で使っていない車だったとしても自動車税は課税されてしまいますので、速やかに廃車もしくは売却されることをおすすめします。