近年、局地的大雨や集中豪雨、台風などによる風水害が増加傾向にあります。特に都市部で被害が目立つのは、ゲリラ豪雨といわれる局地的短時間集中大雨です。ゲリラ豪雨は7月後半から9月前半にかけて多く発生するといわれていますが、短い時間に大量の雨が降ることで冠水被害が起こる可能性があります。都市部では1時間に50ミリ以上の大雨が降ると、下水道等の排水設備が追い付かず内水氾濫が起こったり、低い土地に造られたアンダーパスに水が溜まり、気づかずに進入した車が水没する被害が発生しています。
こちらでは、もしもゲリラ豪雨や台風などで冠水被害に遭ってしまい水没車となった車は、修理すべきか廃車すべきなのか、こちらで詳しく解説します。
水没車とは
大雨による河川の氾濫や内水氾濫により駐車場や道路が冠水してしまい、その場にあった車が冠水被害に遭ってしまう可能性は決して低くありません。ゲリラ豪雨などの短時間に大雨が降ってきたような場合では、雨が降り出してから車を移動しても間に合わず、車を移動させると危険を伴う可能性もあるのです。
もし、車が冠水被害で水に浸かってしまったら、その車は「冠水車」もしくは「水没車」と呼ばれます。
水没車(冠水車)の定義
水没車(冠水車)には、一般財団法人日本自動車査定協会の中古自動車査定基準で定義が定められており、「水没車(冠水車)は、集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、または、その痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの」となっています。
水没車(冠水車)にみられる一般的な症状
- 通常の車の使用方法では発生しない場所(シートレール、ペダル類のブラケット、ワイヤーハーネスのコネクタ等)に錆や腐食が見られる
- フロアやシートレール等に通常の使用では付着しない汚れやシミがある
- 室内やエアコン作動時に、泥やカビの臭いがする
水没車は修理するべき?
毎日の通勤や通学で使用している車が、突然冠水被害に遭ってしまうと、生活の足を失います。できれば修理をして車に乗り続けたいと考える方がほとんどでしょう。水没車は修理することができるのでしょうか。
水没車の修理ができるかどうかの判断基準
水没車が修理できるかどうか判断するには、「どの程度車が浸水してしまった」かどうかが基準となります。浸水の程度により車が修理できるどうかの判断基準を解説します。
まず、タイヤを上下に分けて考えて、タイヤの下半分までの浸水であれば、車体のうち水に浸かってしまった部分は少ないため、修理費用も抑えられますし、修理をして乗り続けることができる可能性が高いでしょう。ただし、タイヤ上半分まで浸水してしまった場合は、修理はできる可能性がありますが費用が10万円~20万円以上と高額になる可能性があります。
また、浸水の程度がマフラーまで冠水してしまっている場合、修理できる可能性はやや低くなり、修理費用はかなり高額になることが見込まれます。車内のフロアまで浸水している場合は、基本的に修理は難しいとされています。
水没車の修理をするかどうかの判断なら、修理費用もポイントです。修理するかどうか検討していると伝えて、整備工場で修理費用の見積もりをとります。水に浸かった部品は交換が必要になってくるため、浸水の程度が高まるほど修理費用が高額にかかってくる場合が多くなります。フロアまで浸水したものの、修理して乗り続けたい方は、シートが浸かっていると泥や砂などが車内に残り、独特のにおいが残ることも留意しなくてはいけません。気になるためシートを全部張替えるとなると、かなり費用がかかります。
水没時の補償がある任意保険(車両保険)に加入している場合は、修理費用の補償も対象になっていますが、全額補償となるかどうかは確認が必要です。
また、水没車は修理したことで問題なく走行できるようになっても、通常の自動車よりに比べて、その後の不具合が発生しやすくなっています。こまめにメンテナンスをし、調子が悪いところがあれば早めに整備工場などでみてもらうようにしましょう。
水没車に乗り続けるリスク
一度水に浸かってしまった自動車は前のような状態には戻りません。特に、冠水被害で海水に浸かってしまった場合は、徐々に錆びが発生し不具合が起こる可能性が高くなります。電気系統が故障し、走行できなくなった自動車を走行できるようにするためには、ほとんどの部品の交換が必要になるでしょう。車種や年式次第では部品が用意できず、修理を断られる可能性もあります。
冠水した道路を走行した車は、走行はできる状態ではあるものの車の下方部は浸水してしまっています。水に浸かった部品は不具合が出やすいため、問題なく走行ができていたとしても、修理に出すことをおすすめします。
水没車の修理には部品交換賃もかかるため見積が高額になる上に、修理後に走行できるように回復できたとしても、通常時の車以上に不具合が発生しやすいというリスクが残ります。
任意保険(車両保険)に加入していても修理に必要な費用すべて補償されるかどうかは、車の年式や走行距離によって価値が落ちている場合難しくなります。足りない修理費用を自費で補てんしてでも修理をするべきかどうかは、修理後に水没車に乗り続けるリスクも判断の一つとなるでしょう。
水没車は廃車するべき?
水没してしまった車の修理はせず、廃車をして乗り換えるのであれば、次の車を購入するディーラーや中古車販売店に下取りに出せないかと考えるでしょう。
しかし水没車には「冠水暦」が残ります。過去に水没してしまった車は不具合が発生しやすいため、中古車としての価値は下がります。下取り査定を依頼しても、査定0円になったり、引取にレッカー等の手配が必要になると別途費用がかかって損をするかもしれません。
水没車の廃車は注意が必要
水没車を修理せず、廃車して乗り換えるのであれば、浸水の程度によってはエンジンをかけることができない状態、またはエンジンをかけると出火の可能性があり危険な状態になっていることがあり、不動車の引取りができるように積載トラックで車を運んでもらう必要がでてきます。
ディーラーや中古車販売店など、車を販売するところでは基本的に動く車を運ぶ手段は持ち得ていますが、動かない車の輸送には外部業者へ発注をかけるなど費用が発生する場合が多いため、下取り目的依頼したのに、費用がかかってマイナスになる可能性が高く、注意が必要です。
水没車の廃車費用をかけない方法
水没車の廃車をするのであれば、まずは不動車の引取りを保管場所まで無料でしてもらえるところを探すようにしましょう。次に、廃車する車の手続きについても、廃車実績が多く任せることができるところを選ばなくてはいけません。
水没車の廃車手続きをする時に自動車検査証(車検証)の原本や、保険の解約のために自賠責保険証の原本が必要になります。しかし、基本的に車載すように定められている書類のため、車と合わせて書類が水没してしまっていることが多いのです。乾かすことで判別ができれば、書類として使用できるかもしれませんが、車検証ケースから無理に取り出そうとして破れてしまったり、泥水等で汚損して読めなくなってしまっていることもあります。このように必要な書類が足りない時にどのような対処をすればいいのかは、廃車実績が多く相談できるところに任せることが大切です。
水没車は中古車として値段が付かなくても、車の部品を売ったり、海外に輸出をおこなっている廃車買取業者に廃車を依頼すると買取がつくことがあります。また廃車買取業者は、廃車引取のレッカーを自社で手配できるため不動車引取でも費用がかからず、廃車実績も豊富です。
まとめ
残念なことに、車が水没してしまった場合は、浸水の程度次第では廃車にした方が良いというケースがほとんどです。「冠水歴」がついて中古車としての査定額が大きく下がってしまううえに、高額な費用をかけて修理しても、修理後の車に錆や不具合による故障などのリスクを抱えなくてはいけません。
水没車であっても再利用できるパーツなどがあれば、買取できる廃車買取業者もありますし、エンジンをかけることができない不動車となった車の引取り費用の心配もありません。
廃車無料.comでは、冠水被害や洪水被害等で水没してしまった車の廃車のご相談も承っています。車の状態や車種によっては買取も可能です。また、書類の毀損時や紛失時の手続きのご相談も承っています。水没車の修理と廃車で悩まれているという方は、お気軽にお問い合わせください。